日本の企業が中国で事業を行うためにウェブサイトを立ち上げる場合、Webサーバーの置き場は一般的に中国か日本、二つの選択肢があります。
今のクラウド時代、単純なウェブサイト構築であれば高価なハードウェアのサーバーを購入し、直接IDC会社と契約して高額なデータセンターにサーバーを置くことはまず考えらません。
通常、Webサーバーに中国と日本のどちらのクラウドサービスを使うかは、ウェブサイトの目的、メリット・デメリット、コスト、手間によって選択が変わります。
■ 中国に置くメリット
- ウェブサイトを見る人のほとんどが中国にいる人なのであれば、Webサーバーを中国に置くと、ネットのスピードや安定性が確保しやすいです。また、中国政府は基本的に海外のサイトに敵意を持っているため海外のサイトへの通信に対して余計なチェックが多く、海外のサイトへの通信効率が悪くなる場合もあります。
- 中国のインターネットサービスと連携しやすいです。例えば、Wechat公式アカウントやAliPayの決済などは中国国内のサーバーでないと、連携を拒否される可能性があります。
- 中国の技術者によって、中国のサーバーを管理しやすくなります。
- サーバー代金を中国法人の経費にする場合、会計処理が便利です。
■ 中国に置くデメリット
- 面倒な手続きが多い
中国には特殊なネット政策があるため、ウェブサイトを開設するには様々な許可を取得する必要があります。例えば、どのサイトでも法人名義で「ICP备案」の申請が必要です。サイトをリリース後、公安局の登録も必要です。中国はニュース類や掲示板などのサイトを作成するなら更新にも厳しいです。 - 料金は日本より高い
日本のさくらレンタルサーバーやVPSサーバーの金額と中国のAliyunの料金プランを比較すると、やはり日本のサーバーの方が安いです。特にネット通信の使用料金は断然日本の方が安いです。 - サーバーの管理者が日本人ならば、中国のサーバーを管理しにくいです。
- Google、Facebook、Twitterなど、海外のインターネットサービスのAPIと連携する場合、中国のサーバーから連携できません。
■ウェブサイトを日本に設置すると、中国で見れなくならないか?
確かに中国は海外のサイトに敵意をもっています。特に政治大会の間は、海外への通信が遅くなったりおかしくなったりする場合もあります。
ただ、ごく普通のビジネスサイトで政治的な文章がなければ、中国で見られない心配はほとんど必要ありません。しかも、中国と日本の間のネット回線は比較的早いです。通常中国で日本のサイトを見るのに遅いとは感じません。
■ ウェブサイト作成の費用は?
ウェブサイトの機能により費用が全然違いますので、一言では言えません。しかし、ほとんどの中小企業のウェブサイトは単純に企業の名刺として設置しますので、一番シンプルな会社HPの制作費用を概算します。
- ソフト:Linux + WordPress: 0円
- 委託作成(テンプレート)+構築費用:20万円前後
- サーバー代金:14,000円/年
- ドメイン代金:1,500円/年
つまり、初期の予算は22万があれば、業者に頼んで標準的な企業ウェブサイトが作れます。
また、近年ではホームページを作成するためのサイトがあります。シンプルで使いやすいので、単純な企業サイトを作成するには向いていると思います。例えばwix.comの場合、料金は僅か1267円/月です。料金プランはこのページに記載されています。
私は実際にwix.comを利用した経験があります。最初に企業HPを作成するには非常に便利だと思います。また、ホームページの知識なくてもサイトが作れますので、まずシンプルなサイトを作成し、会社情報を記入したら、完成度が高い原型となります。将来予算ができたら、ホームページの作成業者に外注する時に、非常に役に立つ「仕様書」になります。
■ 結論
- 会社概要や事業の紹介などの中小会社のHPなら、日本のサーバーをお勧めします。コスパが良く、安心感もあります。お勧めのサービスはさくらインターネットサービスです。
- 予算はほぼ0円、短時間で標準的なウェブサイトを作成するには、https://ja.wix.com/のようなサービスをお勧めします。
- Google、Facebookなどのサーバーと連携する必要がある場合は、日本にサーバーを置くしか選択肢はありません。
- 中国で直接ECサイトやWechat公式サイトなどを使って、本格的に中国国内向けのネットビジネスを行う場合は、絶対に中国のサーバーを使った方がいいです。お勧めのサービスはアリババ傘下のAliyunです。