中国を笑っていられるのはいつまで?ー中国ビジネスの厳しさ

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最近ちょっとしたご縁で数社の日本人ビジネスマンとお会いする機会がありました。

中国で自社製品を販売したい!とやってきた方々なのですが、会ってみて正直がっかりしました。

日本の中小企業の中国進出計画はこんなにずさん

わざわざ飛行機代やホテル代をだしてやってきているのに、どこの会社もサンプルも満足に持ってきていないし、日本語の資料しか用意していないし、商品名ですらカタカナで中国人に見せても一体何に使うものなのかわからない状態。

あれ持ってくるの忘れた、これ準備してないなど、おいおい大丈夫なのかという方々ばかり。
いろいろ努力して準備したが思いもよらない事態に対処できなかったというならまだ理解できますが、最初からやる気も考える気も全然ない。

日本語の商品名だけではまずいということに気がついた後も、どうしようと焦る様子も翻訳できる人を探そうという努力も見られず、「仕方ないからまあいいか」と言った様子でした。

売りたい姿勢が全く見えず、何しに中国に来たの?何がしたいの、というかむしろやりたくないんじゃないの?と横で見ていて本気で聞きたくなりました。
しかもこれが1社だけじゃないのが驚きです。

言うまでもないことですが、中国で何か物を売りたいなら中国人にこれが何の商品なのか、どうやって使うのかくらいは伝わるように準備して欲しいものです。

まだまだ古い中国に対する考え方

中国を知らない日本人はまだまだ中国に対するイメージが古く、コピー商品が出回っている、ルールを守らない、貧しい、ダサい、清潔感がないなどの悪い印象でいっぱいです。

確かにまだまだそのような面もありますが、中国はここ数年で急速に変わっています。日本以外の外国製品もどんどん入ってきているし、日本やその他の国に行って会社を作り、日本やその国の製品として、中国人が外国で中国人向けに販売する例もたくさんあります。

日本人が品質の良い日本製品を持って中国に現れたとたん、中国人がこぞって「ぜひうちに売って下さい!お願いします!」などと言うと思ったらそれは間違いです。「中国人は品質が良くて値段も比較的安い日本製品が大好きである」という話にあぐらをかいて、上から目線で商売をしようとしても、中国人は振り向いてくれないでしょう。

日本人の方が「どうぞ買って下さい」と言ってアピールする努力をし、中国のスピード感にも必死でついていかなければ、受け身でじっくり待っていても、よほどの大企業でもない限り商談成立までにはまずこぎつけられないと思います。

中国人のやる気はとにかく凄い

一方中国人は、もちろん細かいところはまだまだで、センスも清潔感も足りず、いい加減なやり方やルール違反な行動も多いですが、意気込みだけは人一倍ならぬ人百倍!
とにかくお金儲けのためには何でもやる執念はすごいです。

困ったことに直面しても、「どうしよう、まあ今回は諦めるか」という感じの日本人とは逆に、いい加減なりにも何とかしてしまうパワーを持っています。

今中国の若者の間では起業ブームに湧いています。若者だけでなく、中年のおっさんも目がギラギラしっぱなしです。

日本が中国に笑われるように

シャープが鴻海に、三洋がハイアールに、東芝の白物家電が美的(マイディア)に買収されたのは記憶に古くないと思います。

中国の企業はどんどん力をつけ、世界で戦っていける企業もかなり増えました。

中国3大ネット企業である百度(バイドゥ)、阿里(アリババ)、騰訊(テンセント)はBATと呼ばれ、世界的に有名ですね。日本でAlipayに対応している店も随分増えてきました。FreetelはLINEとWeChatは通信料無料にしています。

2017年世界スマートフォンシェアランキングでは、1位サムスン、2位Appleですが、3位〜10位はHuawei、OPPO、vivo、LG、xiaomi、Lenovo、TCL、ZTEと続き、LG以外は全て中国の会社です。悲しいことに日本の携帯は一つも入っていません。

Market Share Ranking of Smartphone Bands Based on Annual Global Production Volume

出典:http://press.trendforce.com/node/view/2741.html

日本への旅行では無料Wi-Fiがない場所が多いため、中国人観光者から日本は遅れていると評判されています。中国の方が日本よりも無料Wi-Fiのあるところが圧倒的に多く、無料Wi-Fi関連ビジネスも盛んです。

また以前は中国に日本のコピー商品がたくさん売っていて、そこに書いてある日本語が変だとよく日本人が笑っていましたが、最近は日本のあちこちにある中国語が変だと中国人に笑われています。下の写真はほんの一例。今やWechatで中国人の格好のネタになっています。

「ぶっかけうどん」が「颜射乌冬面(顔射うどん)」に。

出典:http://mt.sohu.com/20161103/n472174362.shtml

ちょっと納得、でも頑張ろう!

もう何年も中国で暮らしている自分は中国のパワーに囲まれていたし、中国に長期滞在する日本人も皆パワフルで、あまり気にしていませんでした。そのためしばらく「何だろう?このビジネスマンたちは一体何なんだろう?」と悶々としていました。

ところが昨日、この日本人のやる気の無さは社会問題としていろいろな人がすでに提起している話を聞いて、いまさらながら今の日本はこうなんだと気が付きました。

例えばこの2016年に書かれた「堺屋太一氏: 日本人は「欲ない、夢ない、やる気ない」」にはなるほどと思わされました。

そうか、日本人って今全体的にこんな感じなのか、とちょっと呆然としてしまいました。
日本人は少し意識を変えないと、このままでは中国を笑える時代は終わりを迎えそうです。