最近北京である小学生の”いじめ”問題が大きな話題となっており、子供をもつ親からかなりの注目が集まっています。
問題がここまで大きくなった事の発端は、12月8日に小学4年の男子生徒明明(仮名)の母親が発表した《每对母子都是生死之交,我要陪他向校园霸凌说NO》(母と子は固い絆で結ばれている、私は子供と共にいじめに反対する)という文章がネットで広まったところから始まります。その後学校だけでなく教育委員会、報道機関をも巻き込んで事態はどんどん大きくなっていきました。
問題となった行為の内容
2016年11月24日北京の中関村第二小学校で午前中の休み時間にトイレで起こった出来事です。4年生の明明(仮名)がトイレに入った後、それに続き同級生の軍軍と亮亮(仮名)という二人の男の子がトイレに入りました。明明がトイレの個室に入っているのみると、軍軍が「ドアをあけてお尻をみせろ」とはやしたて、 そして亮亮がトイレにあったゴミ箱を個室に投げ入れ、そのゴミ箱は明明の頭に命中しました。その後すぐ軍軍と亮亮はトイレから立ち去りました。3人が一緒にトイレにいた時間はほんの30秒ほどのことでした。
明明はこの後11月25日至12月1日まで通常通り学校に通い、12月2日から病気を理由に学校をお休みするようになりました。
問題行為を受けた子供の親の主張
《每对母子都是生死之交,我要陪他向校园霸凌说NO》(母と子は固い絆で結ばれている、私は子供と共にいじめに反対する)によると、明明がトイレで用を足していると、二人の同級生が入ってきて軍軍が「ドアを開けてお尻をみせろ」と大声で叫び、明明が怖がっていると、亮亮がゴミ箱を投げ入れてきて頭に当たり、尿と便を拭いた紙が体にかかったといいます(中国では使用済みのトイレットペーパーをゴミ箱に捨てる習慣がある)。二人の同級生は笑いながら走って出ていき、一人残された明明は怖かったのとひどい臭いで泣きはじめたとのこと。
帰宅後母親はこの話を聞き、担任に電話して問題行為を行った二人の男子生徒の親を学校に呼び出し問題解決を図るよう要求しました。
次の日3人の子供とその親、担任、学年主任が集まり、まず大声で叫んだ軍軍から話を聞いたところ「冗談だった、面白かったから笑った」といい、その親の口からは「すこし度の過ぎたいたずらだった」という発言が飛び出しました。ゴミ箱を投げた亮亮の親は不満そうな態度で謝罪しました。担任は問題行為を行った二人をたいして叱りもせず、逆に「なぜ先生に言わなかった?その時間君を見たけど変なところは何もなかった」と言ったといいます。
その後二人の同級生は何事もなかったように過ごし、自分たちが勝ったという態度で先生が見ていない時を見計らってまたからかいにきたとのこと。
さらに学校側と再度の面談をもったところ、まるで自分達の方が間違っている、謝罪を求めるべきではないとまで言われたといいます。
学校側の主張
10日に中関村第二小学校は「事件後から現在まで積極的にこの問題について取り組んでおり、今後も問題解決に力を尽くす」といった内容の声明を出し、教育委員会も報道記者に対し「このいじめ問題を把握しており、現在処理中である」と発表しました。
さらに13日、中関村第二小学校は事態の進展状況を発表、十分に調査し、事件の発生を謝罪した上で、この3人の生徒の間にはこれまで大きな衝突があったことはなく、「いじめ」や「暴力」であったとまでは言えないとの見解をだしました。
まとめ
この事件が今後収束していくのか、それともさらに拡大していくのか今の時点ではまだわかりませんが、今のところこの事件に対し同情する声もある一方で、教育委員会やメディアにまで訴えかけるのはさすがにやり過ぎだ、当事者同士で解決すべきであるとの声も上がっています。
私の感覚では、中国の小学校でのいじめは日本に比べれば少ないように感じます。その理由の一つは「学校での忙しさ」です。詰め込み教育の中国では、休み時間も授業や宿題をやる時間に当てられることが多く、子供が「水を飲む時間もない」というほどです。ただ今回のようにたった30秒でも事件が起こる場合もあります。今回のことはやり過ぎという声があるとしても、中国に「いじめ問題」を考えさせるいい機会になったのではないかとも思います。