Mobike (摩拜单车) 、発展の裏側にある被害

シェアする

順風満帆のようで、じつは裏では多くの被害や悩みを抱えているMobike。利用者が増える一方で、どのような問題がおこっているのでしょうか。

2016年4月に上海でスタートしてから、ものすごいスピードで発展・普及をみせている中国のレンタル自転車サービスMobike(摩拜单车)。30分につき0.5元〜1元で手軽にレンタルでき、好きなところに乗り捨て可能とあって急速に利用者数を増やしています。

Mobikeの詳しい紹介と使い方については以前の記事に書きましたのでこちらをどうぞ。
スマホ1つで自転車レンタル Mobike(摩拜単車)登録と使用ルール

ここでは一見華々しい成功を見せているかのようなこのMobikeの裏側についてご紹介したいと思います。

問題1:利用者のモラル

このMobikeの問題は中国の新聞にも載りました。

2016年8月13日の上海新聞

みんなこの自転車を使いたいのだけれど、通勤ラッシュの時間になると当然足りなくなるため、自分だけが使えるように私物化するためにあれこれと策をとりだしたのです。自宅に持ち込んだり、自分で購入したチェーンをかけるのはまだ可愛い方。自分の携帯にQRコードを入れておいて、車体のQRコードは塗りつぶして他の人が読み取れないようにする、偽のQRコードとすり替えるなど、車体を傷つける例もたくさんあるようです。

塗りつぶされたQRコード

また自転車を停めるべきではないような場所に停めたり、トラックなどに載せてmobikeのサービス範囲外である郊外に持っていって使ってしまう例もあるようです。

邪魔になる駐輪

問題2:いたずらや詐欺

これは私物化よりさらにたちが悪いですね。
故意に車体を壊す人や盗んで車体や部品を中古販売する人、なんと河に投げ捨ててしまう人までいるようです。

河から発見されたMobikeの車体

また詐欺の手口もあります。車体に本物の「扫码骑走」とかかれたQRコードの他に、「支付宝扫一扫(スキャン)」や「微信扫一扫」と書かれた偽のQRコードもついていたら要注意。この偽のQRコードで支付宝や微信から支払いをすると、お金だけとられて使えないということになります。MobikeはMobikeのアプリで使いましょう。

問題3:Mobikeによって仕事を奪われる人々の抵抗

このMobikeの一番の利用者は誰かというと、やはり地下鉄で出勤する会社員。家から駅まで歩くにはちょっと遠い、という人がかなりの人数いるものの、駅前は日本のようにきちんと整備された自転車置場がなくごちゃごちゃ。盗まれてしまう心配もあるため、自分で自転車を買って駅まで乗っていくという人は思ったほど多くなく、頑張って歩く人もいますが、三輪タクシーや黒車と呼ばれる非正規タクシーを利用する人も多いのです。家から駅までこれらを利用すると、5元〜15元くらいはかかります。そこに表れたのがこのMobike。これを使えば1元で駅まで行けて、盗まれる心配もしなくていいので、会社員がこぞって使うようになりました。

住宅地(小区)の出入り口付近で客を待つ三輪タクシー

しかし、これによって困るのが三輪タクシーや非正規タクシーの運転手たち。商売敵の登場に焦らないはずはありません。思わずこっそりMobikeの自転車を使えないように壊してしまいたくなる人がいてもおかしくありません。

問題4:少なくない車体の故障

いざMobikeに乗ろうとQRコードをスキャンしても、解錠されない…。故障が多いのも悩みの一つ。一見どこも壊れていないものも、アプリにこんな表示が出たりします。

Mobike運営側も、壊れた車体を回収するのも修理するのもコストがかかって大変だと思います。きっと今はまだ大赤字のはずです。

本当の成功は人々のモラル次第

このように、様々な人から様々な仕打ちをされているMobikeですが、こんな問題もどこ吹く風で自信満々です。投資家がこぞって投資したがっていることが原因の一つかもしれません。Mobikeはまだまだ発展途上のサービスであり、これからどんどん改善されていくことが期待されています。

ただ中国において上海や北京はまだ高いモラルを持つ知識人も多い都市ですが、これからもっと小さい都市などに広げていこうとするとモラルの低い人々も増えるため、いくら対策をたてても追いつかないのではという心配はあります。Mobikeが今後も成功をつづけられるのか、どこかで倒れてしまうのかは中国人のモラルにかかっているといえます。

Mobikeの窃盗事件で初判決

2016年12月9日にMobike窃盗事件の初判決が上海で出ました。

被告人はごく普通の一般人で、Mobike一台を占有するため自宅に持ち込んでいました。そこに他の利用者がMobikeアプリを使って自転車を探していたところ、被告人の自宅にあることを発見、警察に通報しました。被告人は罪を認め、「ただ独占して使いたかっただけ」と言っているとのこと。恐らく犯罪という意識はなく軽い気持ちだったのでしょうが、これによって拘留3ヶ月と罰金1000元が言い渡されました。

※ソースはこちら
上海宣判摩拜单车盗窃案 被告人判处拘役三个月

この判決が出たことによって、今後の抑止力となると良いですね。