中国メディア取材の「南京で暮らす日本人」ドキュメンタリー

シェアする

中国メディアが南京で生活する4人の日本人を取材し制作した”生活在南京的日本人(南京で暮らす日本人)というドキュメンタリー動画をご紹介します。

その動画がこちら。”生活在南京的日本人”

この動画に出てくる日本人は以下の4人。

  • 南京大学で中国語を学びながら日本食レストランで働く野尻仁通さん
  • 中国人男性と結婚し、3人の子供を育てる石川果林さん
  • 南京大学に1年間の留学をしている樋口結奈さん
  • 南京日本人会の会長を務める兎澤和広さん

南京大学で中国語を学びながら日本食レストランで働く野尻仁通さんの話

1-nojiri

南京は大阪に似ていて、若者も年寄りも優しくてにぎやか。南京にきて1年になり、中国人の彼女がいる。南京に来た当初は歴史的な問題があるため怖かった。道を歩いていたら、そばを通りかかった子供が「小日本鬼子、不要跑(逃げるな)」と話しているのが聞こえ、一瞬自分のことかと思った。普段の生活では特に問題ないが、12月13日の南京大虐殺記念日だけは韓国人のふりをするという。

尖閣諸島の問題が急浮上した3年前、大学の先生に「危ないので外出は控えるように」と言われたが、1912街区(1912年ごろの街並みを再現した飲食店の多い一角)に遊びに行った。そこである中国人に「どこの国の人?」と聞かれ、隠さず「日本人だ」と答えたところ、その中国人は「ようこそ中国へ」と言ってくれた。

今の中国人の彼女とは将来結婚しようと思っている。

中国人男性と結婚し、3人の子供を育てる石川果林さんの話

2-ishikawa

南京にきて16年になる石川さんは、以前日本で日本語を教えており、海外で日本語を教えたいという気持ちがあった。海外での仕事がないか探していたところ、南京の大学での仕事の話があり、海外ならどこでも良いと特に何も考えず飛びついた。

その後一人の中国人男性と知り合い結婚。3人の子供に恵まれた。

石川さんの子供に現地の小学校でいじめられていないか尋ねると、始めは「ない」と答えていたものの、「小日本」や「日本鬼子」と言われたりしないか?と聞くと一人の教師からそのようなことを言われたことがあるという。

南京大虐殺紀念館にはまだ旧館だったときに行ったことがあるという。日本語は怖くて話せなかった。見終わって出てきたときは悲しい気持ちだったが、日本の軍人が後悔を綴った日記などの心情の部分については中国語に翻訳されてなかったという。(但し旧館の時代の話なので、新館になった今はわからない)

結婚をしようと決めた当初は夫の家族からの猛反対にあった。遠方に住んでいた親戚も全て集まってきて反対された。しかし将来夫となるこの中国人男性の祖母は結婚しても良いと言ってくれた。この祖母は実は南京大虐殺の経験者だった。彼女がOKを出してくれるなら大丈夫だと思い結婚に至ったという。

南京は嫌い、という彼女。暑くて寒くて、でも仕方ない。好きじゃなくても嫁いできたのだから。毎回日本に行って、南京に帰ったときには、家に帰ってきたという感じがするのだという。

南京大学の留学生である樋口結奈さんの話

3-higuchi

第二外国語で中国語を選択していたことから中国への交換留学を決意した樋口さん。家族や友人からは反対されたが、彼女自身は怖いとは思わず自分の意志で決めた。中学校で南京大虐殺があったということは習ったが、詳しくは知らなかった。だが事実を知ることは大事だと思い南京大虐殺記念館に行ったが、そこでは日本語は怖くて話せなかったという。

もうすぐ留学生活も終わりの彼女は、日本に帰ったら南京が懐かしくなるだろうと述べた。安く買える肉まんやミルクティー、南京でしか経験できないことがいっぱいあった。日本に帰ったらもう一度南京に来たくなるだろうと彼女は言った。

南京日本人会の会長である兎澤和広さんの話

4-tozawa

漢方薬の勉強をしたくて南京にきた兎澤さん。南京に来て10年ほどになる。彼の話によると兎南京にいる日本人は500人足らず。南京で多くの友人ができ、南京日本人会の会長になった。

来た当初、言葉が通じない以外特にプレッシャーはなかったが、その後近代史について理解が深まってくると徐々にプレッシャーを感じるようになってきた。

毎年何回も南京大虐殺紀念館に行くという彼。日本から友だちが来ると、必ず行くように薦めてもいる。旧館の頃は一度も行かなかったが、南京大虐殺紀念館が新しくなったのを契機に日本人会でも行くようになった。

彼は南京は外から来た人を受け入れてくれる街だという。南京に来たことのない日本人には南京は怖いところのように思えるが、南京に来たことのある日本人はすぐに南京を好きになる。彼は日本には帰らず南京を自分の家にすると決めた。

まとめ

南京は南京大虐殺という出来事を嫌でも思い起こさせる街です。

南京大虐殺について関心を持つ人は少なくないと思いますが、南京に住む日本人がどのくらいなのか、関心を持っている人はどのくらいいるでしょうか。また、現在南京で暮らす日本人がどのような思いを抱えているか、あまり知る機会がなかったように思います。

このドキュメンタリーを作ったのが日本人ではなく中国人だという点にも大きな意味があります。

中国語の動画ですが、より多くの人に見てもらえたらいいなと思わせる作品です。