日本ではITエンジニアは35才までが限界だとよく言われますが、今中国でも同じことが起こっています。現在中国のIT業界は非常に早いスピードで発展をしていますが、その背後で中国の40代ITエンジニアが危機を迎えており、精神的にも経済的にもかなりの打撃を受けている人が急増中です。
中国の大手通信機器メーカーHuaweiの現状
「息子よ、私が帰った後も体を大事にしなさい。体は全ての資本だ。毎日残業ばかりで見ていて辛い。だがHuaweiを恨まないように。Huaweiに残るしか道はないのだから。」これは深センにいる息子を訪ねたが、あまりにも仕事に忙しくしているのをみて、一人さみしく家に戻った父親が息子にあてて書いた手紙です。
「もし飛行機墜落事故があったら、会社は真っ先にHuawei社員が乗っていなかったか調べる。」これは社員数の多さと影響力の大きさを皮肉ったHuawei社員の話です。
「1987年に設立したHuawei社は現在30代だが、未だ成長期にある子どものようだ」あるHuaweiと同い年の社員はこう語っています。
2015年上半期、Huaweiの営業利益率は18%でしたが、2016年上半期の営業利益率は12%にまで下がりました。2016年通年の営業利益率は7%になる見通しです。
そんなHuaweiは現在「リストラ」の渦の中にいます。リストラや閑職へ追いやられる対象として最も多いのは34才以上のシステムエンジニアで、特に40才以上のプログラマーは最優先で退職勧告されました。Huawei内部には波紋が広がり、いろいろな声が出たものの、最終的にどうするべきかの結論は簡単に下されました。
細分化された仕事を長期的にこなした結果、社員は高度に専門化されたネジの一本となってしまい、中年となった今辞職しても再就職は難しいのが現状です。しかし17万人の従業員を抱えるHuaweiにしてみれば、古いものを捨てて新しいものを取り入れることを避けては通れないのです。
Huaweiのような大企業のITエンジニアはかなりの高給取りなので、実は経済的にはわりと余裕があります。リストラや閑職に追いやられても、それまでの蓄えで経済的に困窮することはあまり考えにくいです。ただ、このような人たちはプライドも高いので、かなりの精神的なダメージを受けることになります。
中国では日本よりも面子が重要視されるため、いくら経済的に余裕があっても仕事をしていないという状況は恥ずかしくて人に言えず、精神的なダメージは相当のものとなっています。
ヘッドハンティング業者:40代ITエンジニアは要らない
中国ではIT業界のスタートが少し遅かったため、一番最初にIT業界に従事し始めた人たちが今ちょうど40代に差し掛かっています。その40才以上が現在「中年危機」に直面しており、「狐死して兎泣く(人の不幸を見て自分も同じ運命をたどるのではないかと悲しむ)」という雰囲気が広がっているといいます。
最近多くのヘッドハンターが京東商城のオフィスの前で「給料2倍」のプラカードを掲げて立っています。京東商城本社が北4環から東南5環外に移転したことで、多くの従業員が通勤に時間がかかるようになったため、Huawei本社に転職したいと考える人は少なくありません。あるヘッドハンターの話によると、すでに数千人が離職したか、離職の準備をしており、それは皆ITエンジニアだそうです。
ヘッドハンターはもちろんHuaweiのリストラの動きについても注目しています。ヘッドハンターに言わせてみれば、Huaweiの40才以上のITエンジニアのリストラは全く不思議なことではありません。「若者は残業や徹夜もできる体力があり、お金を稼ぐことに貪欲で、転職によるスキルアップも狙っています。朝9時から夜10時までの仕事は残業とは呼びません。年をとる前に活路を見出そうとしているのです。」
実際40才以上のプログラマーは転職先を見つけることは極めて難しいのが実情です。「我々ヘッドハンターは普通40才以上の人はヘッドハントしません。40、50代のプログラマーは基本的に皆経済状況は良く、転職先を探す人は非常に少ないです。」
この言葉の裏側には、無視できない残酷な現実的理由があります。年をとれば体力も精神力も衰え、新しい物を生み出す能力も衰えるのに対し、彼らは高い給料を期待します。ヘッドハンターはこの年齢層の求職者に対し、「価値がない」という非常に厳しい評価を下しています。
中小企業で働くプログラマーはもっと悲惨
Huaweiのような大企業のITエンジニアなら、40才にもなれば人生に必要なお金はすでに十分稼げており、リストラにあっても精神的には辛いものの経済的には問題ありませんが、中小企業で働くプログラマーになると給与もそれほど高くないため、生活に直接影響します。
上の表でもわかるように、35岁以上でまだ一線で活躍するプログラマーはわずか3.69%で、23才以下はまだ学校を卒業したばかりであることを考えると、事実上23才から35才までの間が主流市場の95.58%を占めている計算になります。
95.58%のプログラマーがわずか12年で職業的な寿命を迎えるのです。
中国でも年をとったITエンジニアの末路はかなり厳しいようです。
※この記事のソース
华为老员工危机感加剧 科技猎头:我们也不要