最近の「反韓」運動から考える中国の強国・愛国ブーム

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最近の激しい「反韓」運動

在韓米軍のTHAAD配備の一件で、ここ一ヶ月、中国全土で激しく「反韓」運動が行われています。

特に韓国でTHAAD配備用の土地を提供する韓国のロッテグループの中国にあるスーパーや商品は恐ろしいぐらいの不買運動にあっています。ロッテの中国語名が「乐天(楽天)」であるため、日本の楽天が「うちはロッテとは関係ないよ!」と大慌てで声明を出したほどです。

楽天が中国のweiboに出した「Rakuten(乐天)はLotte(乐天)グループとは同一の会社ではありません」というお知らせ

一般人のロッテスーパーの前でのデモや不買運動の他にも、中国のネット通販大手「京東商城」がこの京東商城内のロッテマート館を閉鎖したり、山東省の青島検験検疫局が食品添加物の規制でロッテグループ系列会社のキャンディー600kgの通関を不許可として焼却処分したり、中国各地の消防管理機関が消防法違反や書類不備などを理由にロッテマート店舗を営業停止に追い込んだりなんてことも起こっています。

ロッテン閉鎖

「反韓」運動がどのくらい激しいかがわかる動画:「小学生抵制乐天」


小学校で「ロッテのお菓子は買わないようにしよう!」と教育されています。


国内东北抵制韩国的气氛越来越浓


あるレストランで中国人に「韓国人は犬だ、出て行け!」と言われている韓国人。

また、中国は韓国への旅行も規制しています。一般の中国人も韓国に旅行する人、韓国の商品を買う人はネット上で「売国奴」と呼ばれています。

親韓から突然の反韓へーー中国と上手く付き合うには

ここ数年、中国の「反日」運動はよく耳に入ってきましたが、「反韓」運動というのは初めて聞きました。今まで韓流は中国で大人気でした。韓国に対して中国の民間人だけが好感を持っている訳ではなく、中韓の政府関係もかなり良さそうでした。テレビではよく、両国のリーダーが親友であるかのようにアピールしている印象がありました。

それにもかかわらず、一瞬にして「反韓」運動になったのには正直驚かされました。現在の中国や中国の国民心理への理解を重視しないと、中国と付き合うのはとても難しいことです。

中国と付き合うポイント:

  1. 政府にしても、企業や一般人にしても、中国の「面子」を重視することが第一。表向きの面子さえたたせてやれば、裏での取引も十分可能。
  2. 中国人は身内に優しく他人に厳しい。知らない中国人の前で調子に乗って大声で日本語を話すのは避けるべき。
  3. 中国内部に大きな問題がなければ、中国の力は更に強まることは間違いない。中国と米国の間のバランスを取るのは各国の外交の課題。
  4. 中国に進出する日本の企業や個人は常にバックアップの案を用意しておくべき。

これから民族主義、愛国主義が更に高まると予想されます。中国市場のみに依存せず、他の市場も開発する必要がありますね。韓国ロッテと同様のことが日本の企業に起こるのリスクは十分あります。

中国の「強国」「愛国」ブームのバックグラウンド:

1.中国の経済成長に伴い、国民の自信が溢れだした
ここ数年の経済成長、裕福層の増加が著しい中国。特に大都会に住む人々が不動産でどのくらい儲けているか、中国のエリートたちの財産は一般の日本人には到底想像できないほどになっています。北京や上海の富裕層とは言えない一般の家庭でも、400万円ぐらいの車を現金払いで購入し、一家族でマンションを3戸くらい所有しているのが普通です。毎年海外旅行にいくのも一般的です。

農村の生活レベルはまだまだですが、昔よりは随分と裕福になりました。高級車とはいかないものの、農村ではマイカー時代が始まっており、新婚家庭には車が欠かせないものとなっています。

中国のエリートから農村の人まで、中国は強国であるという意識が非常に強くなっています。

2.インターネット、WechatなどSNSの情報の発達
Wechatでの政府批判や社会問題の情報発信はかなり規制されていますが、民族主義、愛国心の宣伝をするような文章に対しては政府は黙認の態度をとっています。たとえ嘘や正しくない情報でも、愛国主義に関する文章ならOKなのです。

この点を上手く利用し、中国のSNSで儲けている中国人がたくさんいます。反日や反韓の記事は中国人にとってストレスのはけ口となるため人気記事となりやすく、拡散も容易であるため自分のブランドや広告をつければかなりの収入や宣伝効果があるのです。実際にこのやり方で成功した個人事業主や中小企業は少なくないようです。

そしてこの手法で拡散された愛国主義の記事は、農村など比較的田舎に住む疑うことをしない単純な中国人の間でどんどん浸透していっているのです。

3.中国国内の社会問題から国民の関心を「敵国」に誘導したい
中国には環境問題、社会不公平の問題、政府内部の腐敗、民族問題など、巨大国家ならではの国内問題が山積みです。

国民が政府に対して不満をつのらせると、共産党としては非常に厄介なことになります。そのため愛国心を持たせて、外国の「敵」に不満や恨みを持たせれば、共産党は褒め称えられ、悪口は外に向いて一石二鳥なのです。

4.近代史の教育で被害者の意識が強い
近代史において、中国は日本を筆頭に欧米諸国にも侵略され、悲惨な運命であったことは否定できません。

しかし、中国の歴史教育の中で、中国の文化や社会の腐敗がその悲惨の根本的な原因であることは全く強調されず、永遠に被害者の立場のみを強調し続けています。

それが結果的に、国民の「いつか中国が世界一になったら復讐してやる」という心理的な暗示になっているのです。

5.軍事力は世界で2番目
中国の軍事力は今では世界で2番目になっています。予算や人材が充実しているため、様々な先進武器が揃っています。

近年軍人から中国の外交官まで、外国への発言は基本的に強気で、なんだかいつも怒っているような様子があります。全世界に中国の「強国」をアピールしているのでしょう。

まとめ

中国の愛国・強国ブームは今かなり強く、ちょっとしたきっかけで一瞬にして針が振り切れるかのように過剰な反応を見せます。中国の愛国主義、民族主義の広がりは、中国に対しても世界に対してもとても危険です。ドイツのナチス、旧日本の軍国主義はその民族主義が膨れ上がった前例だと言えます。

我々日本人はいつまでも中国人を貧しいイメージで見て馬鹿にしているのは非常に危険です。中国人を毛嫌いせず、上手く付き合っていく方法を前向きに考えていかないと、日本はあっという間に飲み込まれてしまうかもしれません。